一番好きな映画は?と聞かれると一本だけ選ぶことなんて到底出来ないけれど、かならず頭に浮かぶ映画がある。
それが、『 SMOKE 』 だ。
ブルックリンにあるオーギー(ハーヴェイ・カイテル)の煙草屋を中心に、小説家のポール(ウィリアム・ハート)、黒人少年とその父親(フォレスト・ウィティカー)などなどのエピソードが重なり、話が進んでいく。
今から観るひとはしあわせだなぁと思うし、だからこそ、思い出したように何度も観てしまうのだとも思う。
生きていれば、辛いこと苦しいことはあって当たり前だ。
もちろん嬉しいこと楽しいことも。
何かで読んだ、「心にかさぶたができたようだ」という言葉が好きだ。
自然とかさぶたが取れるのを待つひと、薬を塗ってみるひと、無理やり剥がすひと、包帯でグルグル巻きにするひと‥。
どんな方法でもいつかは心のかさぶたも取れる日がくるのだ。
そして、どんなひとでも、いつでも心のどこかになにかしらのかさぶたがあるのだと思う。
この『SMOKE』を見ていると、形にできない、声になかなか出して云えない、「友情」や「信頼」、そして「ごめんなさい」と「ありがとう」が煙草の煙のようにモクモクと漂っているような気がしてくる。
そして、ラストのクリスマスの話とトム・ウェイツの音楽、クレジットの『煙が目にしみる』と、胸にシクシクと煙が沁みてくる。
「みんな観てみて!オススメ!」とは絶対云わない。
好きそうな人にコソっと教えて、「ねっ」とお互いニマニマするのが好きなのだ。
本当に好きなモノは他のひとに教えたくなくなる。
そんなモノを自分の引き出しに入れておこう。
そして、時々出して虫干しして風花にあて、また大切にしまっておこう。
『SMOKE』は、そんなモノのひとつ。
出逢えた自分に感謝!

