「あぁ、これから忙しくなるんだなぁ~、今のうちにどこかへゆっくり出かけたいなぁ~。」
‥と胃痛のさなかフト考えた。
「でも、休めても二日間だよなぁ~。あっ!あの展覧会がっ、あるんだったっっ!!」
‥と思い出した。
「Sちゃんにも逢いたいしぃぃ~
」
‥ちなみにSちゃんはザンネンながら女だ。
そうとなったら‥‥
熊本駅から市電に乗って、Sちゃんとの待ち合わせのホテルに行って手荷物を預けた。
これから、テクテク歩くのだ。
目的地までの道のりは、古い建物を生かした街づくりをしているところが多い。
車が一台通れるくらいの道をふたりでオシャベリしながら、テクテクと歩いた。
昨日も一昨日も逢っていたかのように、以前、一緒に働いていたときのように、取り留めのない話をしながら歩いて約20分くらいで、最初の目的地に着いた。
夏目漱石は、明治29年4月から4年3ヶ月のあいだ、熊本で暮らしていたのだが、その間6回
転居していて、この5番目の内坪井の家には一番長く暮らしたそうだ。
その5番目の家が小さな記念館のようになっている。
実際、漱石が暮らした家のなかに入って見ることができるのだ。
このキシキシと鳴る廊下を歩いたのだろう。
書院の障子がステキ。
漱石のおもかげを見るかのように家のなかへと入っていくと‥
私は漱石の句では、『猫も聞け、杓子もこれへほととぎす』というのが妙に好きなのだが、思わず、その句を口ずさむ気分になった。
いや、いい意味でね。
縁側に座って、ポカポカ天気に照らされたお庭を見ながらボォ~としたときを過ごす。
私はけっして熱心な漱石ファンではないが、『草枕』は好き。
この家には、貴重な原稿だとか、ゆかりの品物だとかがあるわけではない。
ただ、この家で漱石が暮らしていた、ということだけ、それだけ。
目には見えない、お金には代えられない、空気を感じて吸う場所なのかもしれない。
また、テクテクと今度は電停まで歩いた。
電車に乗って着いた町も古い建物を生かした街作りをしている。
ステキな洋館。
ランチはここで。
フレンチ、イコール、ソースや生クリームを使ったモノといった概念を吹き飛ばす味で、お店の
名前の『塩胡椒』のとおり、主な味付けは塩胡椒なのだ。
このデザートの紅茶のムースがまた美味しかったのだ~。
上にかかった紅茶のソースが甘い、と思うでしょ?
甘みがあるのは下にあるムースで、この紅茶のソースはまったく甘くなく、紅茶のエキスのような少しだけ苦いソースで、ムースと一緒に口のなかに入れると絶妙な味が~~![]()
身も心もおなかいっぱいになった私たちは、近くにある塩の専門店に入ってみた。
そこで、美味しい塩や、すっごくいい香りのハーブソルトを買った。
お店の外には、ある乗り物があった。
その乗り物を運転している青年(大学生)が、店内で休憩していた。
アーケードのあるところの近くまで、二人だといくらかなぁ?と聞くと、一人400円です、と。
私たちは乗っけてもらうことにした。
二人も乗って大丈夫?と心配したが(しかも、ひとりは私だ)、電動自転車なので大丈夫らしく、「楽勝ですよ~♪」と、青年は笑顔で漕ぎ始めた。
道々、由来などを案内しながら連れていってもらえるのだ。
小さい橋をふたつ渡って、裏通りを走って、気持ちのいい風を感じながら、ほんの数分だったが私たちもずぅ~っと笑顔だった。
こんなオープンカーに乗っているときは笑うしかないのだ。
ほかにどんな顔をするというのか。
なんだか楽しかったのだ。とっても。
てくてくさるく、は、まだまだ続くのだ。



















